ADR特別研修に参加して
ADRとは、裁判外紛争解決手続きのことで、仲裁、調停、斡旋などの、裁判によらない紛争解決方法のことです。民間紛争解決の手続に、各分野の専門家である、司法書士、弁理士、社会保険労務士、税理士、不動産鑑定士、行政書士、土地家屋調査士等の士業団体の利用を促進する法律が平成16年12月1日に公布され、平成19年5月31日までの政令で定める日に施行される運びとなりました。これに伴い日本土地家屋調査士会連合会でも全国で約1500名の研修参加者を募集し、平成18年3月19日より平成18年5月13日までの2ヶ月間に第1回土地家屋調査士特別研修(「民間紛争解決手続代理関係業務」の代理権取得に対し能力を担保する為の研修)が行われました。研修は、基礎研修、グループ研修、集合研修、総合研修及び考査に分けて行なわれ、(1) 基礎研修(3月19日〜3月21日)
全国を8グループに分けて、各会場をオンラインで結び、ライブ中継により憲法・境界確定訴訟の実務・民事訴訟法T・民事訴訟法U・民事訴訟と立証方法・所有権紛争の実務・ADR総論・ADR代理の基礎・専門家責任について17時間の研修が行われました。
(2) グループ研修(3月22日〜4月15日)
各県の、会毎に小グループ(5人〜7人)に分かれ、研修課題を使っての申立書・答弁書の起案及び問題点等の研究、倫理についての研修を15時間以上にわたって行いました。
(3) 集合研修(4月29日・4月30日)
各県の会毎に集まり、弁護士の講師より申立書・答弁書起案についての講義とグループ研修で起案した申立書・答弁書の講評を受けました。
(4) 総合研修及び考査(5月13日)
佐賀会と長崎会合同で弁護士の講師による倫理の講義を受け、その後考査が行われました。
今回の研修は、遅刻・早退15分以上の場合は再受講という厳しいものでしたが、受講者は、毎回、真剣な態度で講義に集中し、積極的に研修に取り組みました。受講者の皆さんお疲れ様でした。
筆者は、憲法・民法については少々勉強しているつもりでしたが、今回の研修を受け、全く身についていないことを痛感いたしました。民事訴訟法に至っては、初めての講義で、このように勉強したのは、土地家屋調査士試験の受験勉強以来でした。
このように45時間の研修を受け、考査に合格すれば、「認定調査士」として代理権が与えられ、弁護士と共同受任という形で境界問題解決に向けて新しい分野に参画することが可能になります。
ADRの特徴は、
・非公開性(当事者の秘密・プライバシーの保護)
・柔軟性(当事者の合意による取引慣行などを解決基準とし、法律上の権利義務にとらわれず円満・建設的な解決案を模索できる)
・専門性(専門知識を持つ者を斡旋人、調停人、仲裁人に選ぶことが出来る)
・迅速性、低廉性(適切な方法の選択でき裁判に比べ時間と費用の節約が出来る)
・国際性(他国でも仲裁判断の承認、執行が一定の要件の下で保証されている)
にあります。
これからの時代は、費用と時間がかかる裁判よりも、まずは話合いでの紛争解決を優先するADRが紛争解決のひとつの手段として広く利用されていくのではないかと考えます。
尚、境界問題解決センターを設置している会は、東京会・大阪会・愛知会・福岡会・神奈川会・札幌会・徳島会で、我が長崎会でも、立ち上げに向けて情報収集及び検討を行っているところであります。
今回は第1回の研修で、今後も毎年このような研修会が実施される予定です。今後の研修会の日時は未定ですが、連合会では会員の約6割を目標に「認定調査士」の養成を考えているそうです。

