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長崎県土地家屋調査士会

長崎県土地家屋調査士会 広報見聞録

★広報見聞録
200年月

平成19年度第1回研修会

広報部
  平成19年6月23日(土)会員多数の参加のもと、大村市の長崎県建築技術センター(NERC)において本年度第1回の研修会が開催されました。
今回の研修テーマ及び講師の先生については、次のとおり。
  • (1) 「土地家屋調査士業務における個人情報の保護について」
       長崎県弁護士会      原  章夫 先生
  • (2) 「綱紀委員からの報告」
       本会綱紀委員会      寺岡 和雄 先生
  • (3) 「街区基準点の活用」
       熊本県土地家屋調査士会  島田 宗男 先生
 特に「土地家屋調査士業務における個人情報の保護について」の講義内容を記載いたしました。
 まず最初に本会会長挨拶に触れてみたいと思います。
 今回初めて、公嘱協会と合同の研修会を開催する運びとなり、今後も統一テーマがあれば、合同で開催していきたい。
 また、今回は大村市での開催となったが、離島支部からの参加者は二泊三日の日程での参加となる旨、支部長会議でお聞きし、配慮不足を痛感しており今後は、日帰りの可能な長崎市での開催も検討していきたい。この場合、県北支部の会員には遠隔となるが、事情をご理解頂きご協力をお願いしたい。
 埼玉県で職務請求用紙の不正使用により調査士が告発される事件が発生し、また、当会でも前年度18回の綱紀委員会が開かれる異常事態となっている。個人情報保護法、調査士法44条の処分条項制定等による影響も考えられるが、調査士業務と法規定の関わりについて今後一層充分な注意を払う必要があると思われる。
 今回の研修では、弁護士の原章夫先生にお出で頂き、隣接者の個人情報についての取扱い等、日常業務の中で何が法に抵触するのかという点について具体的な事例をあげての講義をお願いしている。 また、綱紀事件をおこさないための注意事項について、寺岡委員長よりお話を頂くことになっているので、よく勉強して頂きたい。
 基準点測量につては、昨年末、「街区基準点を使用しなければ、取り下げの対象になる」という注意書が出されており、島原市では、市役所と調査士会の間で「街区基準点の包括使用」の承認がなされ、今後、街区基準点を使った測量については、市町村側と調査士会との契約に基いて行なわれるという事をご承知頂きたい。
基準点測量は従来より行なわれてきた業務であるが、基本に立ち返り、基準点をいかに活用していくか、しっかり学んで頂きたい。
 オンラインによる登記申請など、諸制度改革が急であるが、中でも筆界特定制度については反響が大きく、ご承知の通り当会としてもADRセンターの立ち上げを急いでいるが、日調連主催の特別研修の2回目以降の受講者が少なく、このままでは将来のADRセンターの対応が不安と言わざるをえない。
 筆界特定については土地家屋調査士が代理権を持つ訳で、会としても会員としても、ほりさげた勉強が必要である。そこで筆界特定に対する会員の取組みを支援するため、特別研修を受ける前の研修会を準備中であるので、積極的な参加をお願いしたい。
 その他問題は山積しているが、執行部としては、優先順位をつけながら、研修等を行なっていきたいと考えている。
「土地家屋調査士実務における個人情報の保護について」原弁護士講義より

1、 専門家としての倫理について

「〜士」とつく仕事、所謂「士業」(専門家、プロフェッショナル)は一般の人とは異なり、高度の倫理性、道徳性が求められる。
法律に基いて資格を与えられた者にしかその業務を行なう事が出来ないということは、ある意味、その業務を独占し、利益を守っているということである。その故に、士業、士会には高い倫理性が求められているという事を理解するべきである。
土地家屋調査士法2条には「品位保持義務、公正誠実義務」が明示されているが、品位保持については職務上はもちろん、プライベートにおいても、同様に保持されなければならないと考えられる。
プライベートにおける非行は、調査士の資質に関わるものとして捉えられるからである。

2、 個人情報保護

 土地家屋調査士法24条2には「秘密保持義務」が明示してあるが、法律に明記してあるものは、最低限の倫理であり、明記してないものであっても個人情報保護に抵触するものがあるので注意が必要である。

(1) プライバシーについて

一般的には「私的な情報を他人に知られない権利」といわれているが、法律上では「自己に関するすべての情報をコントロールする権利」と解釈されている。つまり、自分の意思に従って、自己の情報を公表したりしなかったりする権利という事である。従って、個人の情報を他人が調べたり、公表したりすることについては厳しい制約が課せられる。

(2) 事例

イ. 土地家屋調査士Aは甲から境界測量依頼を受け、隣接地の相続人を調査し、現在の所有者乙等の住所氏名を特定した。乙に立会を求めたところ、どうして自分の事がわかったのかと問いただされた。
      対応 : 職務上許されている権限であり、法に抵触する事はない。
しかし、本来はプライバシーの侵害であるものを、職務上の権限として許されているという認識が必要である。守秘義務がある事、口外秘である事を充分説明し、信頼を得る事が重要である。調査内容は慎重に取り扱う事は当然である。

  甲から、取り寄せた戸籍、住民票等が欲しいと言われた。
対応 : 費用負担者である甲氏からの申出であり、調査結果(住所、氏名等)を伝える事は構わないが、戸籍、住民票等にはセンシティブ(微妙な)情報が記載されているので、これを開示する事は個人情報保護に反すると考えられる。

ロ. 土地家屋調査士Bは境界を争う一方当事者甲から依頼を受け測量したが、他方当事者乙から依頼を受ける土地家屋調査士Xに、測量結果(座標)を情報交換した。
 調査士間でのこのような情報交換は、業務をやりやすくするために、日常よく行なわれているのではないだろうか。
 座標データはセンシティブな情報とはいえないが、紛争時には保護されるべき個人情報となり、損害賠償に発展する可能性も考えられるので、必ず依頼者に事情説明をして承諾を得なければならない。また、紛争性がない場合であっても将来的に紛争化する場合もあり、公正を疑われる事のないよう、慎重を期すためには、依頼者の承諾をとってから、交換する等の配慮が必要であろう。

3、 利益相反

(1) 土地家屋調査士の業務と利益相反

 土地家屋調査士は公正中立の立場で業務を行なうのが前提であるが、土地家屋調査士法22条2の規定にあるように、業務を行なってはならない場合がある。弁護士は、この「利益相反」に対しては非常に敏感であるが、土地家屋調査士の業界においては、この認識が非常に薄いように感じられる。
 今般のADR代理業務は、まさに紛争案件であり、代理人として関与する場合は、「利益相反」について厳格に考える必要がある。

(2) 事例

イ. 土地家屋調査士Aは、甲から頼まれ、境界測量をしたが、その測量に立ち会った隣接所有者乙から、自分の土地の測量をしてほしいと頼まれた場合。

  これは、日常業務の中でよく遭遇するケースで、特に問題はないと考えられる。
ただし、甲乙間に紛争のない事が前提であり、将来的にもそうであるか、注意深く対応する事が必要である。
  紛争の可能性が少しでもある場合は依頼を受けるべきではない。
また、乙の依頼が、乙の知人丙の土地を測量する依頼であっても、甲乙間に紛争がある場合は受けるべきではないと考える。乙の依頼が、甲とは全く関係のない乙の土地に関するものであっても同様である。
  疑われる可能性のある事はしないという立場で慎重に考えることが重要である。

ロ. 土地家屋調査士Bは、甲から境界紛争の相談を受け、話を聞いていたところ、紛争の相手方が以前同じ境界紛争の相談を受けた乙であることがわかった場合。
  この場合は、判明した時点で相談を断り、他の調査士に依頼するよう甲に伝える。
  事前にわかっている場合は相談を受けつけない。
また、合同事務所等で、同一事務所内で各々ADRの依頼を受けた場合は、不公正を疑われる可能性があるため判明次第どちらかが依頼を断る必要がある。場合によっては、両方とも断る方が望ましい。
測量図のみの依頼の場合であっても、測量内容の不正を疑われる場合もあり、慎重に考えてみる必要がある。

  以上、質疑を交えながらの原先生の講義でしたが、「紛争に巻き込まれる可能性がある」という事を常に念頭において業務を行うことが必要となる事を痛感しました。
 綱紀委員長の講義では、昨年度は、5件の綱紀事件が起きており18回もの綱紀委員会が開かれた。会員の皆様は、法令及び会則を遵守しながら業務を行ってほしい等の講義がなされました。
 最後になりましたが、職務上もやもやしていたしていたものがこの研修会においてスッキリしたことと思います有意義な講義をいただき講師の先生有難うございました。
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